研究室 / 京都大学大学院 農学部・農学研究科 応用生物科学専攻

応用生物科学専攻での研究内容の紹介

応用生物科学専攻 植物遺伝学分野/京都大学農学研究科

生物の相互作用、遺伝とは遺伝情報が親から子に伝わることであり、すべての生物の生命活動にとって最も重要な事象です。遺伝学(genetics)では、遺伝の仕組みや物質的基礎を明らかにします。本分野では、作物の品種改良に役立てられることを念頭に置きつつ、生物の相互作用、環境適応に関わる遺伝子群やゲノムのダイナミックス、さらに種内分化と新しい種の成立について、遺伝学の立場から研究を行っています。

応用生物科学専攻 栽培植物起源学分野/京都大学農学研究科

栽培植物は人類最大の文化遺産です。栽培植物を含む生物の歴史は、生物のゲノムに記されています。本分野では、フィールドワークにより集められた世界の多様な栽培植物を主な研究材料として、バイオインフォーマティクスを駆使してゲノム配列を解析することにより、多様な栽培植物の起原と進化に関する基礎研究を展開します。

応用生物科学専攻 植物病理学分野/京都大学農学研究科

病原体は植物に様々な病害を引き起こし、作物の深刻な減収などをもたらしている。しかし、実は植物側もやられっぱなしではなく、両者の間では太古の時代から現在まで壮絶な戦いが繰り広げられている。当分野では、主に植物病原糸状菌、植物ウイルスを対象に、病原体と植物の相互作用について、分子生物学的、細胞生物学的手法などを用い研究している。糸状菌の研究では、植物側の非宿主抵抗性機構および病原菌側による本抵抗性の抑制機構に焦点をあて、その宿主特異性決定機構の解明に挑戦する。ウイルスの研究では、ウイルスの細胞間移行機構およびウイルスに対する植物側の抵抗性機構の解明に挑戦する。

応用生物科学専攻 昆虫生態学分野/京都大学農学研究科

私たち地球上の生物は、どのような進化の力学の下にあるのか?昆虫の種数は全生物種の3 分の2を占めており、この地球上で最も繁栄している生物群である。当分野では、昆虫類を対象にして、フィールド調査や行動実験、数理解析といったマクロの手法から遺伝子解析や化学分析などミクロの手法まであらゆるツールを駆使して、その生態の解明と進化の謎解きに挑んでいる。

応用生物科学専攻 昆虫生理学分野/京都大学農学研究科

昆虫は地球上で最も繁栄しているグループの1つであり、現在の、そしてこれからの地球生態系や農業生態系の維持に欠かすことができない重要な生物群です。しかし、昆虫の生命活動は時に人間との深刻な利害関係を産んでおり、ある物は農業害虫として農作物に甚大な被害を与え、またある物は感染症媒介昆虫として人間や家畜の生命を脅かしています。今後、人間が昆虫と共存共栄していくためには、形態・体色・変態・休眠・生殖・行動など、昆虫のユニークな諸形質の「謎」を解明し、それを適切に制御あるいは利用することが必要である、と私たちは考えています。昆虫生理学分野では、昆虫の多彩な生命現象の生理基盤を理解するために、分子遺伝学、生理学、生化学、化学生態学など、様々な手法を用いて研究を行っています。

応用生物科学専攻 動物遺伝育種学分野/京都大学農学研究科

動物に現れる様々な形質が子や孫にどのようなメカニズムで遺伝してどのようなメカニズムで発現するのかについては未解明な部分が多く残されています。当分野では、糖尿病の動物モデル、和牛など日本固有の資源動物、トキやコウノトリなどの希少動物を対象として、分子遺伝学と統計遺伝学を基盤として最新のオミクスやシステム生物学的アプローチを駆使することにより、動物の「面白い」生命現象の解明に挑戦するとともに資源動物や希少動物の遺伝的評価・育種改良・保全法の確立に関する研究を進めています。

応用生物科学専攻 生殖生物学分野/京都大学農学研究科

哺乳動物の受精卵は当初はすべての割球が個体へと発生する能力(全能性)をもっているが、発生が進むとその能力が失われる。受精による全能性の獲得と細胞の分化がどのように制御されているかをエピジェネティクスの観点から研究している。また、受精卵期の環境が胎仔の発育や個体の成長に影響を及ぼす背景としてのエピゲノムの解析に取り組んでいる。

応用生物科学専攻 動物栄養科学分野/京都大学農学研究科

動物栄養科学とは、食物に含まれる栄養素の代謝と働き、過不足の影響などについて論ずる科学です。実験動物を用いた基礎栄養科学から、直接動物生産に貢献する応用動物栄養科学まで、分子生物学的手法、メタボロームやメタロームなど新しい手法を用いた幅広い研究を行っています。さらに、動物生産で重要な動物成長の分子生物学まで研究を展開しています。

応用生物科学専攻 生体機構学分野/京都大学農学研究科

動物体内では細胞を中心に各組織が形成され、その組織をもとに肝臓、腎臓、心臓などの様々な臓器がつくられ機能しています。また、各臓器は多様な ネットワークを構築しながらその機能を発揮し、生命活動を営みます。生体機構学分野では各々の臓器に焦点をあて、その解剖組織学的特徴や生理学的機能を十 分に理解することを、研究の基盤としています。さらに、環境的要因や遺伝的要因により各臓器が異常を来たした時の変化、つまり病態生理学的機構についても 研究をしています。また、機能性成分などを活用して動物の健康維持と家畜の生産性向上に貢献できる研究も行っています。研究に使用する動物は、マウス、 ラットなどの実験動物からブタ、ウシなどの家畜まで多岐にわたります 。

応用生物科学専攻 畜産資源学分野/京都大学農学研究科

食料生産は、自然条件と社会的・経済的条件が密接に結びついて、多種多様な形態で営まれています。本分野では、従来の実験手法や調査研究に加え、システム分析、情報技術、経営分析など様々な手法を用い、学際研究の幅広い視点から、日本と世界における環境保全型・資源循環型の動物生産システムの構築を目指した研究を行っています。

応用生物科学専攻 海洋生物環境学分野/京都大学農学研究科

海洋生物とそれを取り巻く生物・物理・化学的環境に関する研究分野です。海洋生物の生態を直接計測するバイオロギング・バイオテレメトリーの手法や、水中の音を利用する受動的音響観測手法を開発・応用する研究、フィールド調査、衛星リモートセンシングおよび数値シミュレーションを用いて水圏の物理・化学環境が生物に及ぼす影響を評価する研究などを行っています。

応用生物科学専攻 海洋生物増殖学分野/京都大学農学研究科

海洋の多様な生物資源を持続的に利用するためには、そこに生息する生物に関する基礎知見の集積が不可欠となる。当研究室では、主に魚類を研究対象に、生理、生活史、分類などの分野において、海洋の多様な生態系を維持しながら資源の有効利用に貢献することを目標に研究を進めている。

応用生物科学専攻 海洋分子微生物学分野/京都大学農学研究科

生命の起源とされる海洋は地球表面積の7割を占め、生物量の豊富さと多様性は地上をしのぐものの深海熱水孔から沿岸域に至るまで、生物資源の探索・研究が極一部に限られているのが現状です。本分野では微生物学および分子生物学的手法を用いて、新規海洋微生物の探索と有用遺伝子資源の開発および有毒微細藻のゲノム科学的研究を行なっています。

応用生物科学専攻 海洋環境微生物学分野/京都大学農学研究科

微細藻類やラビリンチュラ類は、抗酸化作用を持つカロテノイドやω3系脂肪酸を生産することから、機能性食品や化粧品の原料として利用されています。さらに、カーボンニュートラルで再生可能な第三世代バイオ燃料(脂質・炭化水素)生産微生物として、低炭素社会を目指した研究開発が進められています。当研究室では、「マイクロバイオファクトリー」の創成を目指し、微生物の働きを利用した有用物質生産に関する研究を行っています。また、世界各地の深海底熱水活動域をはじめとする海洋の極限環境を研究対象とし、「地球を食べる」微生物の生理生態や進化をモデルに海洋生命圏を総合的に理解するための研究を行っています。

応用生物科学専攻 海洋生物生産利用学分野/京都大学農学研究科

広大な海洋の多様な藻類や無脊椎動物、微生物から健康維持や生活の質の向上に役立つ機能性物質について探求しています。すなわち、細胞生物学や分子生物学等、マリンバイオの先端技術を駆使して機能性成分の探索、機能発現機構解明、機能性成分の消化吸収機構解明等を行っています。また、機能性探索には国際的、学際的な協力が不可欠であるため、国内外の大学や企業との協力プロジェクトを立ち上げるとともに、インド、中国、タイなど世界各国からの留学生を受け入れて研究を進めています。

応用生物科学専攻 海洋生物機能学分野/京都大学農学研究科

今なお、海には私たちの知らない生物がたくさんいます。これら海洋生物の中には、陸上生物にはない様々なスーパーパワーが眠っています。また海洋および沿岸での生態系は陸上にはない独自の物質循環システムを持っています。本分野では、海水・淡水に生息する生物の優れた機能を解析し、それを水産物の品質向上、ヒトの健康増進や環境改善に資する研究を行っています。

応用生物科学専攻 里海生態保全学分野/京都大学農学研究科

里海生態保全学分野は、フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所に所属する農学研究科の協力分野です。水産重要魚介類を中心に、系統分類、行動、生き残り、海洋環境などについて、多様な視点から研究を進めています。定員26人の教育研究船緑洋丸、大学では国内最大の魚類標本コレクション、毎時15トンの精密ろ過海水が供給可能な飼育棟、環境DNA分析の技術などを駆使して、人々の食生活に直接関わる海の生物と環境の研究を展開し、京都北部の舞鶴から成果を発信します。