応用生物科学専攻 生体機構学分野/京都大学農学研究科

生体機構学分野

哺乳動物の生理機能を解明する

動物体内では細胞を中心に各組織が形成され、その組織をもとに肝臓、腎臓、心臓などの様々な臓器がつくられ機能しています。また、各臓器は多様なネットワークを構築しながらその機能を発揮し、生命活動を営みます。生体機構学分野では各々の臓器に焦点をあて、その解剖組織学的特徴や生理学的機能を十分に理解することを、研究の基盤としています。さらに、環境的要因や遺伝的要因により各臓器が異常を来たした時の変化、つまり病態生理学的機構についても研究をしています。また、機能性成分などを活用して動物の健康維持と家畜の生産性向上に貢献できる研究も行っています。研究に使用する動物は、マウス、ラットなどの実験動物からブタ、ウシなどの家畜まで多岐にわたります 。

代謝性疾患モデル動物を用いた病態生理学的変化の解析

肝と大腿骨

糖尿病や肥満の動物モデルの腎臓、肝臓、膵臓、筋肉、骨などの臓器について、生理学的、薬理学的および病理組織学的手法を用いて、その病態生理学的特徴を解析しています。また、各動物モデルにWestern Diet食や食塩水を与え、その病態変化を解析しています。(写真は、正常動物と糖尿病動物の肝および大腿骨、糖尿病動物では肝で脂肪蓄積と線維化、大腿骨では骨密度低下=骨粗鬆症が発生)

 

高機能性成分を活用した動物の生理・免疫・生殖機能の改善

生体機構学分野 カロテノイドによるlgA産生の効果動物は環境の変化によって、生理・免疫・生殖機能に異常をきたすことがあります。そこで、食品や飼料中に含有される機能性成分を活用して、哺乳動物の生体機能に及ぼす効果を生化学的、病理組織学的および分子生物学的手法で解析しています。主なテーマは、カロテノイドによる新生児の腸管免疫改善法の開発、妊娠・泌乳マウスのミネラル代謝の改善、免疫機能に対する植物エストロゲンの効果、アスタキサンチンによるウシ初期胚の暑熱ストレス緩解効果などです。(画像は、カロテノイドによるlgA産生の効果の模式図)

哺乳動物の生殖機能を支える因子の解析と繁殖性改善技術の開発

生体機構学分野 ウシ初期胚のメチオニン代謝 現在、家畜が高能力化する一方で、繁殖効率の低下が家畜の生産性向上を阻害しています。そこで、哺乳動物の生殖機能に関与する因子を解析し、繁殖性の改善ならびに繁殖障害の回避法を開発しています。主なテーマは、卵巣形成・機能に関与する因子の解析と卵母細胞保存・発育促進法の開発、哺乳動物着床前胚の発生と分化に及ぼす環境因子の影響の解析などです。(画像は、ウシ初期胚のメチオニン代謝関連する写真。ウシ受精卵におけるメチオニンの代謝酵素(MAT)の発現(左、緑色)。MATを阻害する(右上)と、対照(右下)に見られる胚盤胞(腔を形成した胚)への発生が著しく抑制される。メチオニンは初期胚の発生・分化において重要な役割を担う栄養素の一つである。)

 

キーワード

哺乳動物、実験動物、家畜、解剖生理学、病態生理、代謝性疾患、免疫機能、生殖機能

教 授 : 太田 毅
助 教 : 杉本 実紀

助 教 : 宇野 絹子

TEL:075-753-6324
E-mail:ota@kais.kyoto-u.ac.jp
URL:http://www.j-seitai.kais.kyoto-u.ac.jp