応用生物科学専攻 昆虫生態学分野/京都大学農学研究科

昆虫生態学分野

昆虫の生態から生物進化の力学を探る

私たち地球上の生物は、どのような進化の力学の下にあるのか?昆虫の種数は全生物種の3 分の2を占めており、この地球上で最も繁栄している生物群である。当分野では、昆虫類を対象にして、フィールド調査や行動実験、数理解析といったマクロの手法から遺伝子解析や化学分析などミクロの手法まであらゆるツールを駆使して、その生態の解明と進化の謎解きに挑んでいる。

シロアリの繁殖システムの進化

近年、アリやハチ、シロアリなど社会性昆虫の生態や進化に関する研究が大きな発展期にある。私たちの研究チームは、シロアリの女王が単為生殖と有性生殖を使い分けており、後継の女王の生産は単為生殖、一方、ワーカーや羽蟻の生産は有性生殖で行っているという、驚くべき繁殖の実態(AQS: Asexual Queen Succession)を明らかにした。多様な繁殖生態の解明と、進化力学の解明に多角的アプローチで取り組んでいる。

昆虫生態学分野 シロアリの繁殖システムの進化

昆虫の多様な生活史戦略

昆虫生態学分野

カメムシ類、ウスバシロチョウ、ヒシバッタ、イラガ、オオハリアリ等を材料として、生息場所の時間的・空間的異質性に対応した生活史戦略、特に移動性や休眠性、寄主利用、捕食・寄生回避といった重要な生活史形質の適応的意義や進化について研究を行っている。

これからの昆虫生態学の展望

おそらく次の20 年が昆虫生態学の最も面白い時代になるだろう。かつて理論的解釈にとどまっていた謎も、分析技術の急速な発展により、具体的なメカニズムまで特定できるようになった。特に多様な繁殖システムの進化における遺伝子レベルの対立については、魅力的な仮説が検証可能な段階に入った。熟練したフィールドワークで現場から新たな発見の種を拾い上げ、私たちの研究チームにしかできない独創性の高い研究を展開していきたい。

キーワード

進化生態学、社会生物学、応用昆虫学、群集生態学、個体群生態学、昆虫、進化、害虫管理、フェロモン、社会性昆虫、種間関係、生活史戦略

教 授 : 松浦 健二
助 教 : 高田 守
TEL:075-753-6136
E-mail:kenjijpn@kais.kyoto-u.ac.jp
URL:https://sites.google.com/view/insecteco