応用生物科学専攻 昆虫生理学分野/京都大学農学研究科

昆虫生理学分野

昆虫の行動のしくみを探る

昆虫は地球上で最も繁栄しているグループの1つであり、現在の、そしてこれからの地球生態系や農業生態系の維持に欠かすことができない重要な生物群です。しかし、昆虫の生命活動は時に人間との深刻な利害関係を産んでおり、ある物は農業害虫として農作物に甚大な被害を与え、またある物は感染症媒介昆虫として人間や家畜の生命を脅かしています。今後、人間が昆虫と共存共栄していくためには、形態・体色・変態・休眠・生殖・行動など、昆虫のユニークな諸形質の「謎」を解明し、それを適切に制御あるいは利用することが必要である、と私たちは考えています。昆虫生理学分野では、昆虫の多彩な生命現象の生理基盤を理解するために、分子遺伝学、生理学、生化学、化学生態学など、様々な手法を用いて研究を行っています。

昆虫が環境中の情報を利用して、資源にたどり着く方法を明らかにする

昆虫生理学分野 サーボスフェア上の昆虫の仮想現実

昆虫が餌や配偶者などの資源を探索する時、感覚情報の種類に応じた独特な行動プログラムでその情報を利用する。もしも仮想現実の環境世界で、虫を騙して首尾よくゴールに誘導できたならば、その行動プログラムが実際に使われていることを証明できる。自動で床面を動かして昆虫を常に一点に留める装置を使って、匂いや風、照明など環境情報を時間的・空間的にコントロールしながら、昆虫の行動応答を解析している。(写真は、サーボスフェア上の昆虫の仮想現実)

昆虫が情報交換に使う化学物質を明らかにする

昆虫生理学分野 ゴキブリの脳と匂い刺激装置

昆虫が仲間との交信に使う集合フェロモンを中心に、情報化学物質の研究を、発足以来行ってきた。極微量で行動をコントロールするフェロモンの分離精製と構造の解明を、行動試験と電気生理を含む生物試験と化学分析・分光分析で行なっている。昆虫はまた一般臭を学習する。学習した匂いによる行動の制御について、研究を進めている。(画像は、ゴキブリの脳と匂い刺激装置)

昆虫が受けるシグナルと環境情報の分析

昆虫生理学分野 タイワンエンマコオロギ雄

匂いのほか、振動や音のシグナルについても、波形解析にもとづく合成音への応答から情報の実体を明らかにして、信号の進化を探ろうとしている。
昆虫の行動のしくみを探る基礎研究は、効果的な害虫管理のほか、昆虫の行動を模倣したバイオロボティクスにもつながっている。(写真は、左がタイワンエンマコオロギの雄。右上が自然音、右下がパルス間隔の短い合成音)

キーワード

昆虫の行動、情報化学物質、フェロモン、シグナル、神経行動学、バイオロボティクス、記憶と学習

教 授 : 大門 高明
助 教 : 大出 高広
TEL:075-753-6308
E-mail:daimon.takaaki.7a@kyoto-u.ac.jp
URL:https://sites.google.com/site/kulip2016/(外部サイトに移動します)