応用生物科学専攻 昆虫生理学分野/京都大学農学研究科

昆虫生理学分野

昆虫の行動のしくみを探る

昆虫は地球上で最も繁栄しているグループの1つであり、現在の、そしてこれからの地球生態系や農業生態系の維持に欠かすことができない重要な生物群です。しかし、昆虫の生命活動は時に人間との深刻な利害関係を産んでおり、ある物は農業害虫として農作物に甚大な被害を与え、またある物は感染症媒介昆虫として人間や家畜の生命を脅かしています。今後、人間が昆虫と共存共栄していくためには、形態・体色・変態・休眠・生殖・行動など、昆虫のユニークな諸形質の「謎」を解明し、それを適切に制御あるいは利用することが必要である、と私たちは考えています。昆虫生理学分野では、昆虫の多彩な生命現象の生理基盤を理解するために、分子遺伝学、生理学、生化学、化学生態学など、様々な手法を用いて研究を行っています。

昆虫の生命現象の生理学的基盤を探る

昆虫は地球上で最も繁栄しているグループの1つであり、現在の、そしてこれからの地球生態系や農業生態系の維持に欠かすことができない重要な生物群です。しかし、昆虫の生命活動は時に人間との深刻な利害関係を産んでおり、ある物は農業害虫として農作物に甚大な被害を与え、またある物は感染症媒介昆虫として人間や家畜の生命を脅かしています。今後、人間が昆虫と共存共栄していくためには、形態・体色・変態・休眠・生殖・行動など、昆虫のユニークな諸形質の「謎」を解明し、それを適切に制御あるいは利用することが必要である、と私たちは考えています。昆虫生理学分野では、昆虫の多彩な生命現象の生理基盤を理解するために、分子遺伝学、生理学、生化学、化学生態学など、様々な手法を用いて研究を行っています。

昆虫の脱皮変態の生理基盤の解明

昆虫の多彩かつ特異な形質の発現の鍵を握るのが、ホルモンによる内分泌的な制御機構です。中でも、幼若ホルモンによる遺伝子発現制御はその中核を成しており、外部形態・斑紋・体色・発育・成長・変態・休眠・ 生殖・行動・カースト分化など、ありとあらゆる形質発現に影響を及ぼすと言っても過言ではありません。近年、長年不明であった幼若ホルモンの受容体が単離されたことを契機として、幼若ホルモンの生理機能と作用機構が分子レベルで理解されようとしています。私たちは、幼若ホルモンのもつ抗変態作用を足がかりとして、幼若ホルモンがどのように昆虫の多彩な形質発現をもたらすのか、その生理基盤と遺伝子基盤を理解しようとしています。さらに、昆虫がどのようにして変態する能力を獲得したのか、その進化プロセスの解明を目指しています。

昆虫の新規ゲノム編集ツールの開発

近年のゲノム編集技術の開発により、原理上、あらゆる動物でのゲノム編集が可能となりました。 しかし、昆虫においては初期胚へのインジェクションを行う必要がある、という制約があり、現状では一部の種でしかゲノム編集を行うことができません。私たちは、この障壁を乗り越えて、あらゆる昆虫でゲノム編集を可能とする革新的なゲノム編集ツールの開発を目指しています。私たちが目指すのは、人類が昆虫の形質を自在にデザインし、その驚異的な能力を覚醒・創発させて利用する未来です。

昆虫の形態進化機構の解明

動物界最大の種数を示す昆虫は、基本的な体のつくりを共有しながらも、多様な形態を示します。私たちは昆虫の系統の中でも祖先的な種から派生的な種まで、多様な形態を示す複数の昆虫種をモデルとして、その発生過程を組織、細胞、分子のレベルで比較することで、多様な形態を生み出す発生の仕組みと昆虫進化の歴史を明らかにすることを目指しています。

キーワード

昆虫、変態、ホルモン、ゲノム編集、生理学、遺伝学、進化発生学

教授 : 大門 高明

助教 : 大出 高弘

特定准教授 : 安藤 俊哉

特定助教 : 松田 直樹

TEL:075-753-6308
E-mail:daimon.takaaki.7a@kyoto-u.ac.jp
URL:https://sites.google.com/site/kulip2016/(外部サイトに移動します)